最近ちょっとしたことでイライラしてしまう…。
子どもの言動にカッとなって、後から自己嫌悪。
そんな「怒りっぽさ」に心当たりはありませんか?
年齢を重ねるにつれ、気持ちのコントロールが難しくなったと感じる方も多いのではないでしょうか。
薬膳(中医学)の考え方では、感情と五臓六腑には深いつながりがあるとされています。
今回のテーマは「肝(かん)」と「怒り」の関係。
ちょっとした不調の背景にある“気のめぐり”や“ストレス”との関係を、ゆるっと解説します。
「怒り」は“肝”に関係する感情?
中医学では、五臓それぞれに対応する感情があります。
肝に関係しているのは「怒(いかり)」です。
つまり、怒りっぽくなっている時は、肝のはたらきが乱れているサインかもしれません。
肝の主な役割は、
- 気の流れをスムーズにする(疏泄=そせつ)
- 血を蓄える・調節する
特に肝の「気をめぐらせる力」が弱まると、イライラ・焦燥感・落ち込みなど、感情のアップダウンが激しくなりがちです。
肝が乱れると、こんなサインが出やすい
- 些細なことで怒りが湧く、イライラしやすい
- PMS(月経前症候群)がひどくなる
- 肩こりや目の疲れ、偏頭痛が起きやすい
- のぼせやすく、顔がほてる
- 口が苦く感じる、胸やお腹が張る
思い当たるものはありましたか?
これはすべて「肝の気」がうまく流れていない=気滞(きたい)という状態が原因かもしれません。
なぜ年齢とともに「肝」が乱れやすくなるの?
40代以降になると、ホルモンバランスの変化や生活のストレスが重なり、肝の働きが乱れやすくなります。
また、肝は“血”とも関係が深いので、出産や月経の影響で血が不足(血虚)すると、肝の機能が低下しやすくなるとも言われています。
肝の乱れは、感情面だけでなく、肌荒れ・白髪・目のかすみなど、「老化サイン」にもつながりやすいので要注意です。
肝の気を整える食材と食べ方
肝を整えるには、
- 気を巡らせる食材
- 血を補う食材
- 酸味のある食材(肝に属する味)
をバランスよく取り入れるのがポイントです。
気のめぐりを助ける食材
- みかんの皮(陳皮)
- セロリ
- ピーマン
- 紫蘇(しそ)
- ジャスミン茶・菊花茶
→ 香りがよくてスッとする食材は、気の巡りを助けてくれます。
肝の“血”を補う食材
- レバー
- なつめ
- 黒ごま
- ほうれん草
- 黒きくらげ
→ 肝に栄養を与える「補血」系の食材。女性にとって特に大切です。
酸味のある食材
- 梅干し
- 柑橘系(グレープフルーツ・レモン)
- 酢
→ 酸味は肝の働きを助け、気の流れを整える味。取りすぎは注意ですが、うまく使うと心もスッキリ。
暮らしの中で「肝」のケアを意識するコツ
- イライラしたら深呼吸。呼吸を整えるだけで肝気がスムーズに
- デジタル時間を減らして目を休ませる(肝は目ともつながっています)
- 朝〜午前中に軽く体を動かす(肝の気の停滞を流す)
“肝”を意識して暮らすようになると、不思議と気持ちが穏やかになってきます。
特に「気滞タイプ」の人は、頑張りすぎ・我慢しすぎになりがち。
自分の感情にも「よくがんばってるね」と声をかけてあげてくださいね。
怒りは悪い感情じゃない。肝のSOSかも
怒りやイライラは、決して「悪い感情」ではありません。
体の中の気が滞っている、肝が疲れている…
そんな“SOS”のサインとして現れているのかもしれません。
だからこそ、感情を押し込めるのではなく、
薬膳というやさしい知恵を借りながら、自分の中の流れを整えていくことが大切です。
今日も、ちょっとした食事と習慣で、自分の心と体をいたわる一日にしていきましょう。
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